「木造建築設計技術者 スキルアップ講座」の、11月講座の報告も今回で最後。
最後ということで、変わった実験を集めてみました。
家づくりをしている人でも、なかなか見る機会のない実験です。
まずは、これ!
お家は、「耐力壁」という強い壁により支えられています。
筋交いがあったり、合板で強くしたりするのが、「耐力壁」です。
今の木造建築のほとんどは、この耐力壁で強くなっている、
という前提で構造計算をして作られます。
そこで大切なのが、
実際に「耐力壁」はどのくらい強いのか?という事。
それを実際に実験してみました。
今回の供試体は、合板で補強したものです。
写真の左に有る棒が、壁を押したり引いたりしながら力を徐々に加えていきます。
IMG_0274.jpg
ある力を加えていくと、破断します。
それが下の写真。
IMG_0277_201411212048120be.jpg
上の写真より、少し左に傾いているのがわかりますか?
特に、壁の右下のところが浮いてしまっています。
その写真がこちらです。
IMG_0279_201411212048145bf.jpg
合板も剥がれてしまっていますね。
こうなると、耐力壁としての役目をしなくなってしまいます。
柱を基礎と緊結するホールダウン金物を見てみると、、、、
(真ん中あたりのグレーの物がそうです)
IMG_0280_201411212048166fe.jpg
完全に浮いてしまっていますね。
この写真を見るとわかるのですが、
柱とホールダウン金物をつないでいるネジが引きちぎられています。
凄い力が加わっているんですね。
この実験からも、
ホールダウン金物は家を強くすることに、とても役に立っている事がわかりますね。
私がつくっているお家は、ホールダウン金物が15本くらい入ってる事は珍しくありません。
もし、その本数を減らしたり、バランス悪く配置してしまうと、
力のかかり方が極端になり、より破断しやすくなると考えらるためです。
ですからお家の強さを知るには、
ホールダウン金物の本数を数えるといいのですよ。
それでは、反対側の柱はどのようになっているでしょうか?
IMG_0282_201411212048175ab.jpg
土台に少しめり込んでしまっています。
合板のつなぎ目も浮いていました。
先生曰く、「今のお家は強すぎるのも問題だ」と言っていました。
どう言うことかというと
強いだけですと、ある一定の力が加わった時に突然破断して、壊れてしまうのです。
昔の家は、歪んでも壊れにくい一面も持っていたのです。
歪んでも、倒壊しないのです。
そのためか、実際に実験をすると昔の家も
今の家以上に壊れないというデータも見せていただきました。
やはり、バランスが大切なんですね。
さて、今回の最後には、実験風景のビデオを紹介します。
これも、珍しい実験です。
どういう実験かというと、
「柱を2本重ねてボルトで止めた時、どのくらい強度が増すか?」
と言う実験です。
あなたは、柱を2本重ねると、どれだけ強くなると思いますか?
2倍?
少し割り引いて、1.5倍くらいですか?
このような工法は、リフォームの際に使うことが有るので、
あえて見せてくれました。

先生が説明をしてくれていますが、なかなか聞き取りにくいですね。
結果は、
デカデカデカデカデカデカデカデカデン!
2本重ねた柱の強度は、1本の時とほとんど変わりませんでした〜!
と言いますか、この実験では、1本の時よりも弱かった〜〜!
そうなんです!
それぞれの柱として考えなくてはいけないので、
強くはならないのです。
それも、ボルトで止めるために柱に穴を開けているためか、
弱くなってしまったようです。
見た目は、強そうなんですがね。
では、ナゼこの実験を先生がしてくれたのかというと、
このように柱を重ねるだけで、強くなると考えている人が多いから。
「皆さんも、気を付けましょうね〜〜、」
と言ってくれました。
それにしてもこの実験。
木材が曲がりすぎ、と言っていました。
割れもしなかったので、一番地味な実験にもなってしまいました。
それでも、あれだけ曲がりながらも戻ってくれる木の特性って、凄いですよね。
さて、今回の講習会の報告は以上です。
次回は、12月
なんと、東大の、東京大学大学院教授の講義が聴けるのだそうです!
やった〜!
ついていけるのか??????
一番前の席で、大丈夫か?????
本当に、こんな凄い先生が来てくれるのか、
何度も予定表を確認してしまいました。
そして、山にも行ってきます!
伐採現場も見せてくれるようです。
それに製材工場。
栃木県にある、日本の中でも超優秀な製材工場を見せてくれるらしいです。
今から楽しみです!!
それにしても、ついてこれました?
私一人だけ盛り上がってしまったのでは無いかと心配です。
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